【心臓病が気になる方へ】ぶり・さばなどの青魚と、たらなどの白身魚、心臓を守るのはどっち?19件の追跡研究のメタ分析でわかった違い
公開日:2026年11月6日
さくっと結論
魚を青魚(脂の多い魚)と白身魚(脂の少ない魚)に分けて、心臓病や死亡のリスクとの関係を調べた19件の追跡研究をまとめた分析です。
その結果、青魚を多く食べる人は、冠動脈疾患(心筋梗塞など)の発症リスクが8%、冠動脈疾患による死亡リスクが17%低いことがわかりました。
一方、白身魚では、こうした関連はみられませんでした。
著者らは、魚の健康効果は青魚によるものと結論づけています。
論文情報
- タイトル: Relations between the Consumption of Fatty or Lean Fish and Risk of Cardiovascular Disease and All-Cause Mortality: A Systematic Review and Meta-Analysis
- 著者: Giosuè A氏、他
- 掲載誌: Advances in Nutrition, 2022年10月
内容要約
目的
魚を食べる人は心臓病になりにくいことが知られています。その理由の一つが、魚に含まれるEPAやDHA(オメガ3系脂肪酸)です。
ただし、EPA・DHAの量は魚の種類によって大きく違い、青魚は白身魚の最大10倍ほど含みます。
そこでこの研究では、「青魚と白身魚で、心臓病への影響に違いがあるのか」を調べました。
方法
- 研究デザイン: 前向きコホート研究の系統的レビューとメタ分析です。2021年5月までの研究を対象にしています。
- 魚の分け方:
- 青魚: 脂質が100gあたり4g以上の魚(鮭・まぐろ・にしん・さば・うなぎ・いわしなど)
- 白身魚: 脂質が100gあたり4g未満の魚(たら・かれい・貝類・すずき・鯛・舌平目など)
- 対象者:
- 19件の研究が対象で、アメリカ8件、ヨーロッパ9件、アジア2件(中国)です。
- 日本の研究は含まれていません。そのため、魚をよく食べる日本人にそのまま当てはまるとは限りません。
- 規模: 青魚の研究で延べ約132万人年、白身魚の研究で延べ約94万人年を追跡しています。
- 比較の方法: 魚を最も多く食べるグループと、最も少ないグループを比べました。
- 最も多いグループ: 1日約25〜29g(週170〜200g程度)
- 最も少ないグループ: 1日0〜6g
青魚に鮭やうなぎが含まれている点が一般的なイメージとは少し異なる印象です。
結果・考察
| 結果(魚を最も多く食べる人 vs 最も少ない人) | 青魚 | 白身魚 |
|---|---|---|
| 冠動脈疾患(心筋梗塞など)の発症 | 8%低い(RR 0.92) | 関連なし(RR 1.02) |
| 冠動脈疾患による死亡 | 17%低い(RR 0.83) | 関連なし(RR 1.04) |
| すべての原因による死亡 | 3%低い(RR 0.97) | 関連なし(RR 0.94) |
| 心血管疾患全体(脳卒中なども含む)の発症 | 関連なし(RR 0.94) | 関連なし(RR 1.01) |
| 心血管疾患全体による死亡 | 関連なし(RR 0.94) | 関連なし(RR 0.94) |
※根拠の確実性は、冠動脈疾患の発症が「中」、それ以外は「低」と評価されています。
わかったことは、次のとおりです。
- 青魚の効果: 青魚では、心筋梗塞などの心臓の血管の病気とのつながりが、特にはっきりしていました。一方、脳卒中なども含む心血管疾患全体では、明確な関連はありませんでした。
- 考えられる理由: 青魚に豊富なEPA・DHAには、次の働きがあることが知られています。著者らは、これらが青魚と白身魚の差につながったと考えています。
- 血管のプラーク(こぶ)を安定させる
- 不整脈を起こしにくくする
- 炎症を抑える
- 量の目安: 著者らは、「週1〜2回(週100〜150g程度)の青魚でも、冠動脈疾患の予防に役立つ可能性がある」と述べています。ただし、量と効果の関係(用量反応)は、研究数が足りず分析できていません。
結論
魚を食べることの健康効果は、主に青魚によるものと考えられます。
週1〜2回の青魚は多くの人にとって続けやすい量です。
これが、集団全体での冠動脈疾患の予防に役立つ可能性があります。
白身魚には心臓への効果はみられませんでしたが、良質なたんぱく質源として、バランスの良い食事に取り入れてよいとしています。
ブログ執筆者まとめ
当ブログでは、オメガ3系脂肪酸について次のような研究を紹介してきました。
今回の研究の新しい点は、「魚なら何でもよい」のではなく、「青魚かどうか」が大切な可能性を示したところです。
ただし、次の限界があります。
- 観察研究のまとめなので、因果関係はわかりません。
- 欧米中心のデータです。
- 食事調査は、青魚と白身魚を分けて聞くようには作られていませんでした。
心臓病で治療中の方や、血液をサラサラにする薬を飲んでいる方は、食事の変更について主治医に相談してください。
青魚を心臓を守る食習慣にするには
- まずは週1〜2回は青魚から
- 冬は、脂がのった寒ぶりがおいしい季節です。ぶりの照り焼き、ぶり大根、さばの味噌煮、いわしの梅煮、鮭のホイル焼きなどを、週に1〜2回取り入れましょう。
- 論文の例に合わせると、1回50〜75g程度(切り身1切れ前後)を週2回で、週100〜150gになります。
- 調理の手間を省きたいときは、さば缶・いわし缶も手軽です。缶汁にもEPA・DHAが溶け出しているので、汁ごと使うのがおすすめです。
- 白身魚はたんぱく質源として楽しむ
- たらなどの白身魚には、心臓への効果はみられませんでした。ただ、脂が少なく、良質なたんぱく質がとれる食材です。
- たら鍋などで、肉の代わりに使う日をつくるのも良い方法です。
- 白身魚ばかりで、青魚はほとんど食べないという方は、週1回は青魚に置き換えてみましょう。
- 魚油サプリメントは、まず食事を見直してから
- 健康な人が予防目的で、高用量のEPA・DHAサプリメントを使うことは、ガイドラインでもすすめられていません(論文の考察より)。
- まずは、食事で青魚を食べる習慣をつくることを優先しましょう。
- 妊娠中の方は、水銀を比較的多く含む一部の大型魚(きんめだい・めかじきなど)の食べる量に、注意が必要です。
明日からは、今週の献立に「ぶりの照り焼き」や「さばの味噌煮」など青魚のメニューを1回加えるところから始めてみてください。
30秒で解決!青魚と白身魚に関するQ&A
Q. 白身魚を食べても意味がないのですか?
A. 心臓病のリスクとの関連はみられませんでしたが、意味がないわけではありません。白身魚は脂が少なく、良質なたんぱく質がとれる食材です。心臓のためには、白身魚に加えて、週1〜2回は青魚を食べることを意識しましょう。
Q. 青魚はどのくらい食べればよいですか?
A. 著者らは、週1〜2回(週100〜150g程度)でも冠動脈疾患の予防に役立つ可能性がある、と述べています。ぶり・さば・いわし・鮭などを、切り身1切れ程度、週に1〜2回食べるのが目安です。さば缶なども上手に活用しましょう。サプリメントは、食事で難しい場合の補助的な選択肢と考えてください。
Q. 魚油(EPA・DHA)のサプリメントを飲めば同じ効果がありますか?
A. 同じ効果があるとはいえません。今回の研究は、食事で魚を食べた人の結果です。健康な人が予防目的で高用量のサプリメントを使うことは、ガイドラインでもすすめられていません。まずは青魚を食べる習慣から始め、持病がある方は主治医に相談してください。
関連記事
- 【喫煙者の血流・血液サラサラが気になる方へ】えごま油で血小板機能・炎症マーカーが改善?8週間の二重盲検試験でわかった効果
- 【健康診断が気になる方へ】カフェイン(コーヒー)は心臓に良い?悪い?全米心臓協会(AHA)の最新声明でわかったこと
- 【がん予防が気になる高齢者の方へ】オメガ3・運動・ビタミンDでリスクが下がる?最新研究でわかった相乗効果
まとめ
19件の追跡研究をまとめたメタ分析では、ぶり・さば・鮭などの青魚を多く食べる人で、心筋梗塞などの冠動脈疾患のリスクが低い結果でした。
一方、たらなどの白身魚では関連はみられませんでした。
観察研究のまとめのため確実ではありませんが、週1〜2回の青魚は無理なく続けられる量です。
寒ぶりがおいしいこの季節に、青魚のメニューを献立に取り入れてみましょう。
※ブログ執筆者は研究者ではないので、細かい点で間違いがあるかもしれません。
ご了承いただけますと幸いです。
じっくり論文の内容を確認したい方は各論文のタイトルからチェックしてみてください。
OFUSEで応援を送る
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。