論文・文献の簡単まとめ一覧ページ
このページではアブストラクトが確認できる論文を簡単にまとめています。
スポーツ
ビタミンB1誘導体の摂取は運動パフォーマンスに影響する?
タイトル
The effect of a thiamin derivative on exercise performance
内容要約
目的
ビタミンB1誘導体を摂取することで運動パフォーマンスに良い影響をもたらすかを調べた研究。
方法
①ビタミンB1誘導体を摂取したチームと②摂取していないチームに分けて、a酸素摂取量、b乳酸の蓄積、c疲労時のパフォーマンスなどを比較。
結果・考察
2チーム間で差は見られなかった。
高強度の運動(自転車運動)ではビタミンB1誘導体の摂取が影響を与えないかもしれない。
子どものころにスポーツマンガを読む習慣があると大人になってからよく動きメンタルも良好?
タイトル
内容要約
目的
小児期におけるスポーツマンガを読む習慣が小児期のスポーツ体験や成人期の身体活動量・メンタルヘルスに影響があるかを調べた研究。
方法
中国の大学生50人に、①子供のころのスポーツマンガを読む頻度、②子供のころのスポーツ参加の頻度、③現在のメンタルヘルス状態、④現在の身体活動習慣を質問し解析。
結果・考察
・小児期にスポーツマンガを読む頻度が高いと、小児期のスポーツ参加の頻度が高い。
・小児期のスポーツ参加の頻度が高いと、成人期の身体活動量が多い
・小児期にスポーツマンガを読む頻度が高いと 、成人期のうつレベルが低い
ことなどが分かった。
子どものときにスポーツマンガを読む習慣をつけることで、大人になってからの活動量や精神衛生に影響を与える可能性がある。
ゆで卵と生卵で筋肉の合成に違いが出る?
タイトル
Raw Eggs To Support Postexercise Recovery in Healthy Young Men: Did Rocky Get It Right or Wrong?
内容要約
目的
運動後の筋合成において、ゆで卵と生卵の違いが影響を与えるのかを調べた研究。
方法
健康な男性45人が対象を①対照チーム(クロワッサンとバター、オレンジジュース:エネルギー394kcal、たんぱく質5g、脂質20g、炭水化物47g )、②ゆで卵チーム(卵5個 :335kcal、たんぱく質30g、脂質23g、炭水化物0g )、③生卵チーム(卵5個 :335kcal、たんぱく質30g、脂質23g、炭水化物0g ) に分けて実施。
ウォーミングアップ後、 チェストプレスとショルダープレスを実施。
採血: 210分前、120分前、60分前、運動終了直後、および、15、30、45、60、75、90、120、150、180、240、300分後。
外側広筋採取: 運動前、120、300分後。
結果・考察
ゆで卵・生卵チームにおいて、血漿中のロイシン濃度はすべての時点で対照チームより有意に上昇。食後30~180分後においては、生卵チームよりゆで卵チームが有意に上昇。
筋タンパク質合成率は3チームとも運動前よりも有意に上昇。
ゆで卵・生卵チームの間で有意差はなし。
たんぱく質量をしっかりと摂取できれば、ゆで卵と生卵における筋合成に差はない。
スポーツする習慣が小学生の視力低下を食い止める?
タイトル
内容要約
目的
塾通いによる視力低下リスクをスポーツをすることで低下させることができるかを調べた研究。
方法
6~12歳の生徒7,419人が対象。
そのうち学習塾とスポーツクラブの両方に通っている1,506人の学習塾とスポーツクラブに通う頻度を調査。
結果・考察
塾の頻度が高いほど、眼鏡使用率が高い傾向。
塾の頻度が3~5回の場合、スポーツクラブに通う頻度が1→2回と増えるにつれて眼鏡使用率が有意に低下。
視力低下を防ぐという観点からも小学生がスポーツをする意義が見いだされた。
たんぱく質だけでは筋力は向上しない?
タイトル
内容要約
目的
たんぱく質摂取量と筋力の向上の関係を筋トレの有無によって変化があるかを調べた研究。
方法
82件の研究から分析。
総参加者数は3,940名、平均年齢は55.6歳。
たんぱく質摂取量はたんぱく質追加ありチーム:1.49g/kg/日、
たんぱく質追加なしチーム:1.09g/kg/日。
結果・考察
たんぱく質追加ありチームの方が追加なしチームよりも筋力が有意に増加したが、両チームの筋トレなし同士を比較すると有意差なし。
たんぱく質摂取量が0.1g/kg/日増加するごとに筋力は向上したが、1.5g/kg/日でピークを迎え、以後はたんぱく質摂取量を増やしても筋力の向上は見られなかった。
たんぱく質の増加のみでは筋力向上は見込みづらく、筋トレも行う必要がある。たんぱく質摂取量は1.5g/kg/日以上の摂取は筋力向上に寄与しないと考えられる。
ピスタチオを食べるを食べると筋肉痛が和らぐ?
タイトル
内容要約
目的
ピスタチオの習慣摂取がアスリートに与える影響を調べた研究。
方法
18~35歳の男性アスリート40人を、①多量チーム(ピスタチオ85g/日摂取 )、②少量チーム(ピスタチオ42.5g/日摂取 )、③ピスタチオなしチームに分けて実施。2週間継続。
トレッドミルを用いて-10%の勾配を65~70%VO2maxの強度で40分間の下り坂走行(ダウンヒルラン)後、筋力と筋肉痛、および酸化ストレスなどを24、48、72時間後に評価。
結果・考察
・筋力の回復は多量チームでより強く見られた。
・筋肉痛は多量・少量チームともに抑制され、回復も早く、多量チームでより強く見られた。
・抗酸化能やパフォーマンスへの影響は見られなかった
ピスタチオの習慣的な摂取が筋肉痛を抑え、筋力維持に役立つ可能性がある。
健康
運動と玉ねぎ・ブロッコリーが筋肉の柔軟性を改善?
タイトル
内容要約
目的
玉ねぎやブロッコリーに含まれるケルセチン(ポリフェノールの一種)と糖が結合したケルセチン配糖体と低強度運動の影響を調べた研究。
方法
中高齢者の男女54人を①運動+プラセボチーム、②運動+ケルセチン配糖体低用量(200mg)チーム、③運動+ケルセチン配糖体高用量(500mg)チームに分けて、 24週間の介入を実施。
大腿部の柔軟性を評価。
結果・考察
②と③のチームが①のチームと比べて、筋柔軟性が有意に向上。
中高齢者において、ケルセチン配糖体の摂取と低強度の運動を実施することで筋肉の柔軟性を高める可能性がある。
ビタミンD不足だと運動による動脈硬化リスクの改善効果が低下する?
タイトル
内容要約
目的
ビタミンDの摂取状況が運動の動脈硬化リスク改善効果に与える影響を検討する研究。
方法
普段運動を行っている男子大学生50人にエルゴメーターによる運動負荷を実施。
①運動負荷前(ベースライン)、②負荷終了直後、③15分後、④30分後、⑤45分後、⑥60分後にPWV(脈波伝播速度)と血圧、心拍数を測定。
A.ビタミンD充足チーム(血中ビタミンDが50nmol/L以上)とB.ビタミンD不足チーム(血中ビタミンDが50nmol/L未満)に分けて比較。
結果・考察
②負荷終了直後、③15分後、④30分後において、Aチームの方が血管の弾性が有意に見られた。
ビタミンDが不足していると、運動による動脈硬化リスクの改善効果が得られない可能性がある。
普段運動をしていない人たちや女性においても同様に効果が低下する可能性があるのか、どのようなメカニズムで効果が消失するのか、などの検討が必要。
オメガ3多価不飽和脂肪酸・運動・ビタミンDが高齢者のがんリスクを下げる?
タイトル
内容要約
目的
オメガ3多価不飽和脂肪酸(ω3PUFA)や運動、ビタミンDが発がん予防に影響を及ぼすかを調べた研究。
方法
欧州5カ国の70歳以上の高齢者2,157人が対象。
ビタミンD、ω3PUFA、およびそのプラセボ、自宅での簡単な筋力トレーニングの組み合わせにより、無作為の8群に分類。3カ月おき、3年間にわたり医療機関での検査が行い、浸潤がんの罹患が追跡。
結果・考察
ω3PUFA・筋力トレーニングチームで有意にがん診断リスクが低下。
ω3PUFA・筋力トレーニング・ビタミンDチームではさらに低下。
上記3つの要因が組み合わさることでがんのリスクを抑えれる可能性が示唆。
握力が強いほどうつ病のリスクが下がる?
タイトル
内容要約
目的
筋力の指標としてよく用いられる握力とうつ病の関係を調べた調査。
方法
11万5,601人が解析対象 。
モデルA:年齢と性別を調整
モデルB:年齢、性別、BMI、喫煙・飲酒・運動習慣、教育歴、婚姻状況(パートナーと同居しているか否か)、慢性疾患、処方されている薬剤数、果物・野菜摂取量、国、研究参加の時期
結果・考察
・モデルAでは強握力チームは弱握力チームよりもうつ病のリスクが半減。中握力チームでは35%リスク減少。モデルBでも減少幅は下がるが低リスク。
・男性では握力40kgまでは握力が強くなるほど、リスクが下がる。40kg以上ではリスク変わらず。女性では27kgが上限値。
・メンタルヘルスに影響を及ぼす可能性のある脳由来神経栄養因子などは骨格筋でも産生されていることが、うつ病リスクに影響を与える理由として考えられる。
・うつ病のスクリーニングとして握力が使えるかも。
牛乳の摂取量が未来の握力に影響する?
タイトル
内容要約
目的
成人期の牛乳摂取量が高齢期の筋力に関連があるかを追跡した研究。
方法
1946年からの長期追跡調査。
食習慣を36歳、43歳、53歳、60~64歳の4つのタイミングで実施。
5日間の食事記録調査。
牛乳の摂取量に応じて3つのグループに分け、摂取量が少ない順にグループ①、②、③とした。
結果
・牛乳の摂取量は36歳時点で最も少なく、53歳時点で最も多かった。
・すべての年齢時点で男性の方が女性よりも乳たんぱく質摂取量が多かった。
・総牛乳摂取量、および全脂肪乳の摂取量はサルコペニア有病率と関連がなかった。
・低脂肪乳の摂取量はグループ②ではグループ①よりもサルコペニア有病率の有意な低下が認められた。
グループ③とグループ①では違いがなかった。
・高齢期での握力は、男性ではグループ③の方がグループ①より握力が有意に高かった。
女性では違いがなかった。
結論
男性においては、成人期に牛乳の摂取量が多いと、筋肉の低下を防ぐ可能性がある。
その他
うんちとして排泄されるエネルギーはどのぐらい?
タイトル
Role of Energy Excretion in Human Body Weight Regulation
内容要約
目的
糞便によるエネルギー損失について調べた調査。
内容
同じようにオーバーカロリーを摂取しても体重の増加にバラつきが見られた先行研究から、エネルギーを貯めこみやすい“thrifty型(倹約家)”と貯めこみにくい“spendthrifty型(浪費家)”がいると考えることができる。
過剰摂取したカロリーのうち、糞便へのエネルギー損失が少ない人で2%、多い人では10%に上るという報告もある。
脂質よりも糖質やたんぱく質のほうが糞便への排泄の個人差が大きいという先行研究のデータもある。
最後に食物繊維量や咀嚼、調理、ストレス、年齢なども糞便へのエネルギー損失を検討する上では考慮する必要がある。
男性の不妊は食事で解決できる?
タイトル
Diet and Male Fertility: The Impact of Nutrients and Antioxidants on Sperm Energetic Metabolism
内容要約
目的
食事スタイルや各栄養素と精子の質に関連があるのかを調べた調査。
内容
脂質
・飽和脂肪酸(肉に多く含まれる)の摂取量が多いと、精子数と精子濃度低下する
・ω3不飽和脂肪酸(魚に多く含まれる)の摂取量が多いと、精子の質が高まる
糖質
・砂糖の摂取により、インスリン抵抗性が高まると、精子のグルコース利用が低下して、精子の運動性が低下する
たんぱく質
・サルの研究では、動物性たんぱく質が豊富な食事を与えられたサルは、精子の数と運動性が低く、精子の異常が増加した
結論
食事は男性の生殖能力に影響を与える可能性があり、植物性食品と魚は精子の質に好影響を与える可能性がある。
※ブログ執筆者は研究者ではないので、細かい点で間違いがあるかもしれません。
ご了承いただけますと幸いです。
じっくり論文の内容を確認したい方は各論文のタイトルからチェックしてみてください。
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