【格闘技・筋トレ前にカフェインを摂る方へ】多いほど効く?ボクサー15名の試験でわかった量を増やしても上乗せは限定的という結果

【格闘技・筋トレ前にカフェインを摂る方へ】多いほど効く?ボクサー15名の試験でわかった量を増やしても上乗せは限定的という結果

公開日:2026年10月25日

さくっと結論

中国の男性ボクサー15名が、カフェイン体重1kgあたり3mg・6mg・偽薬(プラセボ)の3つの条件をすべて試しました。
その結果、摂取から60分後には、3mg/kgでも6mg/kgでも、ジャンプの高さとパワーが偽薬より向上しました。
高さは3mg/kgで+3.9cm、6mg/kgで+5.1cmで、2つの量の間に有意な差はありませんでした。
6mg/kgのほうが上回ったのは、ひざを伸ばす力など一部の項目だけです。
著者らは、「6mg/kgが3mg/kgより一貫して優れているわけではない」と結論づけています。

論文情報

方法

  • 研究デザイン: ランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験です。同じ人が3つの条件をすべて試し、条件の間は1週間空けました。
  • 対象者:
    • 中国の国家2級以上の男性ボクサーです。
    • 平均21.5歳、平均体重74kg、競技歴は平均4.1年でした。
    • 海外の研究のため、日本人にそのまま当てはまるとは限りません。
  • サンプルサイズ: 15名で、全員が最後まで参加しました。
  • 摂取量・方法:
    • カフェイン3mg/kg、6mg/kg、偽薬(マルトデキストリン)のいずれかを、見た目が同じカプセルで水200mlと一緒に飲みました。
    • 各試験の前の48時間は、コーヒーやお茶などカフェインを含むものを控えてもらいました。
  • 測定項目: 摂取前と、摂取30分後・60分後に次の3つを測りました。
    • 垂直跳び(下半身の爆発力)
    • 跳ねるように行うプッシュアップ(上半身の押す力)
    • 肩とひざの筋力(関節を一定の速さで動かして測る筋力)

結果・考察

摂取60分後の偽薬との差は次のとおりです。

指標3mg/kg6mg/kg
ジャンプの高さ+3.9cm+5.1cm
ジャンプのピークパワー+279W+348W
プッシュアップのピークパワー有意差なし+221W
肩を前に上げる筋力+9.1N·m+16.3N·m
肩を後ろに引く筋力+13.4N·m+23.8N·m
ひざを曲げる筋力―+25.8N·m
ひざを伸ばす筋力―+41.4N·m(3mg/kgより+26.0N·mも上回る)

※太字は偽薬と比べて有意に高かった項目です。「―」は、3mg/kgと偽薬の比較が示されていない項目です。3mg/kgと6mg/kgの差が有意だったのは、ひざを伸ばす筋力だけでした。

主な結果は次のとおりです。

  • タイミング: 摂取30分後より60分後のほうが、効果がはっきり出ていました。
  • ジャンプ: 3mg/kgと6mg/kgのどちらでも同じように向上し、量による差はありませんでした。
  • プッシュアップ: 6mg/kgでだけ向上しました。ただし、その差は測定のばらつき(誤差)と同じくらいの大きさで、慎重な解釈が必要です。
  • 肩の筋力: カフェインで向上しましたが、量による一貫した差はありませんでした。
  • ひざを伸ばす筋力: 最も「量による差」がはっきり出た項目でした。

著者らは、カフェインの効果は「量・タイミング・運動の種類によって違う」と考察しています。
また、今回の測定はすべて実験室の検査なので、パンチの速さや威力、試合の成績が上がることを直接示したものではないと強調しています。

結論

カフェインを体重1kgあたり3mgまたは6mgとると、摂取から60分後に、ボクサーのジャンプ力や一部の筋力が向上しました。
ただし、6mg/kgが3mg/kgより一貫して優れていたわけではありません。
最適な量や、試合での成績への効果は、今後さらに調べる必要があります。

ブログ執筆者まとめ

当ブログでは、カフェインと運動について次のような記事を紹介してきました。

今回の研究の新しい点は、同じボクサーで3mg/kgと6mg/kgを直接比べたところです。
その結果、量を倍にしても、効果が倍になるわけではないことが示されました。

ただし、次の限界があります。

  • 参加者は15名と少なく、全員が中国の男性です。
  • パンチ力そのものは測っていません。
  • 副作用をきちんと記録していません。

心臓の持病がある方や、カフェインで動悸・不眠が出やすい方は、自己判断で量を増やさないでください。
気になる場合は医師に相談しましょう。

カフェインを格闘技・筋トレ前の習慣にするには

  1. まずは、コーヒーや緑茶で「体重1kgあたり3mg」から試す
    • 体重60kgなら約180mg、70kgなら約210mgです。ドリップコーヒー(1杯150mlで約90mg)なら2杯強が目安です。
    • 今回の研究で効果がはっきりしたのは、摂取から60分後でした。練習や試合の約1時間前に飲みましょう。
    • 濃いめにいれた緑茶や抹茶でもカフェインはとれます。ただし、量にばらつきがあるので、目安として考えてください。
  2. 量を正確にそろえたい場合は、カフェイン錠剤やガムを補助的に使う
    • 飲み物では量が安定しないので、試合当日に量をきっちりそろえたい場合の選択肢です。
    • 6mg/kgは、体重74kgの人で約440mgになり、成人の1日の目安とされる400mgを超えます。今回の研究でも6mg/kgの上乗せは一部の項目だけでした。また、当ブログで紹介した日本人の試験では、筋肉のダメージが増えたという報告もあります。いきなり多い量を試すのは避けましょう。
  3. まずは無理なく続けられる量から
    • 初めての量や製品は、試合当日ではなく練習で試し、体の反応を確かめておきましょう。
    • 夕方以降の練習では、睡眠への影響にも注意が必要です。
    • カフェインは、現時点ではドーピングの禁止物質ではありません。ただし、カフェイン入りサプリメントにはほかの成分が含まれていることもあるので、成分表示を確認してください。

明日からは、練習の約1時間前に、いつものコーヒーを2杯程度(体重1kgあたり約3mg)飲み、ジャンプやミット打ちの調子を記録してみてください。

30秒で解決!格闘技とカフェインに関するQ&A

Q. カフェインは多くとるほど効果が高まりますか?

A. いいえ。今回の研究では、ジャンプ力は3mg/kgでも6mg/kgでも同じように向上しました。6mg/kgが上回ったのは、ひざを伸ばす力など一部だけでした。量を増やすと、動悸・不眠・胃の不快感などのリスクも高まります。まずは3mg/kgから試すのがおすすめです。

Q. 試合の何分前にとればよいですか?

A. 今回の研究では、摂取から30分後より60分後のほうが効果がはっきりしていました。試合や練習の約1時間前を目安にしましょう。コーヒーや緑茶などの飲み物で試し、量を正確にそろえたい場合は、カフェイン錠剤などを補助的に使う方法もあります。

Q. カフェインをとれば、パンチ力も上がりますか?

A. 今回の研究では、パンチそのものは測っていません。ジャンプや筋力などの「パンチを支える体の力」は向上しましたが、パンチの速さや威力、試合の成績が上がるかどうかはわかっていません。技術練習と組み合わせて、自分の体の反応を確かめていくことが大切です。

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まとめ

男性ボクサー15名の試験では、カフェインを体重1kgあたり3mgとっても6mgとっても、摂取から60分後にジャンプ力や一部の筋力が向上しました。
ただし、6mg/kgの上乗せ効果は、一部の項目に限られていました。
カフェインは多いほど良いわけではありません。
まずはコーヒー2杯程度の量を練習の1時間前にとるところから始め、自分に合う量を見つけていきましょう。

 
※ブログ執筆者は研究者ではないので、細かい点で間違いがあるかもしれません。
ご了承いただけますと幸いです。
じっくり論文の内容を確認したい方は各論文のタイトルからチェックしてみてください。

  

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