【試合前にカフェインを摂る方へ】「カフェインだと思う」だけで記録が伸びる?17研究のメタ分析でわかったプラセボ効果の大きさ

【試合前にカフェインを摂る方へ】「カフェインだと思う」だけで記録が伸びる?17研究のメタ分析でわかったプラセボ効果の大きさ

公開日:2026年10月24日

さくっと結論

カフェインが入っていない偽物(プラセボ)を「カフェインです」と伝えて飲んでもらうと、運動の成績がどう変わるのか。
この問いを調べた17件の研究(参加者257名)をまとめて分析しました。
その結果、本当はカフェインが入っていないのに、成績が小〜中程度向上しました(効果量d=0.49)。
これは、本物のカフェインについて報告されている効果(d=0.16〜0.63)と同じくらいの大きさです。
つまり、カフェインの効果の一部は「効くはず」という期待から生まれている可能性があります。
ただし、研究の質は低く、確実な結論とはいえません。

論文情報

内容要約

目的

「カフェインです」と伝えて偽物を飲ませると、スポーツの成績にどのくらい影響するのか。
その効果の大きさと、効果が大きくなる条件を明らかにすることが目的です。

方法

  • 研究デザイン: 系統的レビューとメタ分析です。2026年7月までに発表された研究を対象にしています。
  • 対象者:
    • 18歳以上の健康な成人が対象で、82%が男性でした。
    • 17件中12件は男性だけ、1件は女性だけを対象にした研究でした。
    • 欧米・ブラジルなど海外の研究で、日本の研究は含まれていません。そのため、日本人にそのまま当てはまるとは限りません。
  • サンプルサイズ: 17研究、合計257名です(年齢の中央値は23歳)。
  • 偽物の種類:
    • カプセル: 11件
    • カフェインを抜いたコーヒー: 3件
    • 生理食塩水: 2件
    • ガム: 1件
  • 期待を高める工夫: 「カフェインで成績が上がる」という科学的根拠を見せた研究が10件、口頭で「成績が上がる」と伝えた研究が10件ありました。
  • 測った運動:
    • 筋トレ(ベンチプレスなど): 9件
    • ランニング: 5件
    • 自転車: 3件

結果・考察

指標効果量(d)判定
運動成績全体(主な指標)0.49有意に向上(小〜中程度)
疲れ切るまでの時間1.07有意に向上(大、2研究のみ)
持ち上げた総重量0.73有意に向上
きつさの感じ方(主観的運動強度)0.52有意に改善(楽に感じる)
反復回数0.48有意に向上
パワー・スピード・心拍数・乳酸-0.15〜0.23有意差なし

※効果量は0.2で「小」、0.5で「中」、0.8で「大」の目安です。研究ごとに運動の種類や測り方が違うため、結果には幅があります。

そのほかに、次のことがわかりました。

  • 効果が大きくなる条件: 研究者自身も中身を知らない研究や、男性の割合が高い研究で、効果が大きい傾向がありました。研究者が「これは偽物だ」と知っていると、声かけや態度に無意識に表れて、参加者の期待が下がるのではないかと考えられています。
  • ばらつきと偏り: 研究間のばらつきは小さく(I²=21%)、都合のよい結果だけが発表されている傾向(出版バイアス)も認められませんでした。
  • 研究の質: 半数以上の研究がバイアスのリスク「高」で、リスクが低い研究は1件もありませんでした。そのため、根拠の確実性は「低」と評価されています。

結論

「カフェインだと思って飲む」だけでも、スポーツの成績が小〜中程度向上する可能性があります。
特に、疲れ切るまでの時間、持ち上げる重量、きつさの感じ方に効果がみられました。
ただし、研究の質が低いため、質の高い研究で確かめる必要があります。

なお、著者らは「選手をだまして偽物を与えるのは倫理的に問題がある」と述べています。
そのうえで、実際の現場では、本物のカフェインをとるときに「効く」という前向きな期待をもてるようにすることが大切だとしています。

ブログ執筆者まとめ

当ブログでは、カフェインとパフォーマンスについて、次のような記事を紹介してきました。

今回の研究の新しい点は、カフェインの効果の一部に期待や思い込みが関わっていることを、数字で示したところです。
これは、本物のカフェインに意味がないという話ではありません。
身体に作用する効果に加えて、期待による上乗せもある、と考えるのが自然です。

また、カフェインによる利尿作用が強い人にとってはプラセボを摂取することでパフォーマンアップに繋がるかもしれません。どのような形でカフェインと思い込んでプラセボを摂取すればよいかが難しいですが。

ただし、次の限界があります。

  • 研究の質が低い
  • 参加者の8割以上が男性
  • 日本の研究が含まれていない

心臓の持病がある方や妊娠中の方、カフェインで動悸や不眠が出やすい方は、無理にとらないでください。
気になる場合は医師に相談してください。

カフェインの効果を試合で引き出すには

  1. まずは、飲み慣れたコーヒーや緑茶で取り入れる
    • 研究でよく使われる量は、体重1kgあたり3mg前後です。体重60kgなら約180mgで、ドリップコーヒー2杯(1杯約150ml)程度にあたります。
    • 試合や練習の約60分前に飲むのが目安です。
    • 「いつものコーヒーを飲んだら、スイッチが入る」というように、試合前の決まった習慣(ルーティン)にしておくと、前向きな期待も味方につけやすくなります。
  2. 量をきちんと管理したい場合は、カフェインガムや錠剤を補助的に使う
    • 飲み物だけでは量が安定しない場合の選択肢です。
    • 初めての製品を試合当日に試すのは避けてください。練習で身体の反応を確かめてからにしましょう。
  3. まずは無理なく続けられる取り入れ方から
    • 「効かなかったらどうしよう」と不安を抱えたままとるより、効果を理解して納得したうえでとるほうが、良い結果につながりやすいと考えられます。
    • 指導者の方は、選手に偽物を「カフェインだ」と言って渡すのは避けてください。倫理的に問題があるうえ、信頼関係を損ねるおそれもあります。
    • 夕方以降の試合では、睡眠への影響にも注意しましょう。

明日からは、次の練習の60分前に、いつものコーヒーか緑茶を「これで動ける」と意識しながら1杯飲み、自分の調子を記録してみてください。

30秒で解決!カフェインのプラセボ効果に関するQ&A

Q. カフェインの効果は、結局「思い込み」なのですか?

A. すべてが思い込みではありません。本物のカフェインには、眠気や疲労感を抑える体への作用があることがわかっています。今回の研究は、そこに「期待による上乗せ」もあると示したものです。「本物+前向きな期待」の組み合わせが、最も効果を引き出しやすいと考えられます。

Q. カフェインが苦手でも、プラセボ効果だけ利用できますか?

A. 自分で自分をだますのは難しいうえ、今回の研究はすべて「だまされた状態」での結果です。カフェインが苦手な方は、無理にとる必要はありません。ウォーミングアップや声かけなど、自分の調子が上がるルーティンを作ることを優先しましょう。

Q. どのくらいの量を、いつとればよいですか?

A. 研究では体重1kgあたり3mg前後を、運動の約60分前にとる方法がよく使われています。まずは、コーヒーや緑茶などの飲み物で、少なめの量から試してください。量を正確にそろえたい場合は、カフェインガムなどを補助的に使う方法もあります。

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まとめ

「カフェインだと伝えられた偽物」でも、スポーツの成績は小〜中程度向上していました。その大きさは、本物のカフェインの効果と同じくらいです。カフェインの効果には、体への作用だけでなく「効く」という期待も関わっている可能性があります。研究の質はまだ低いものの、本物のカフェインを前向きな気持ちで、自分のルーティンとしてとることが、効果を最大限に引き出すコツといえそうです。

 
※ブログ執筆者は研究者ではないので、細かい点で間違いがあるかもしれません。
ご了承いただけますと幸いです。
じっくり論文の内容を確認したい方は各論文のタイトルからチェックしてみてください。

  

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