【10kmレースを走る方へ】カフェイン+唐辛子の辛味成分で記録が縮まる?ランナー20名の試験でわかった効果と注意点
公開日:2026年10月10日
さくっと結論
ブラジルのランナー27名(全条件を完了したのは20名)を対象にした二重盲検クロスオーバー試験で、走る45分前にカフェインとカプサイシンを一緒に摂ると、10km走のタイムがプラセボより約70秒短くなりました(p=0.048)。
ただし、統計的にタイムに影響していたのはカフェインだけで、カプサイシン単独の効果や、組み合わせによる上乗せ効果は確認されませんでした。
また、カフェインを含む条件では、不眠・不安・頭痛・動悸が多く見られました。
論文情報
- タイトル: Effects of isolated and combined supplementation of caffeine and capsaicin on a self-paced 10-km running performance
- 著者: Melo MS氏、他
- 掲載誌: European Journal of Applied Physiology, 2026年10月
内容要約
目的
カフェインは中枢神経に、カプサイシンは痛みの感じ方や筋肉に働くとされ、仕組みが異なります。
そのため、2つを組み合わせると効果が高まる可能性が考えられてきました。
この研究では、カフェインとカプサイシンを単独または一緒に摂ったとき、10km走のタイムや体の反応がどう変わるかを検証しました。
方法
- 研究デザイン: 無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験(同じ参加者が4つの条件をすべて試す方法)
- 対象者: ブラジルの、練習を続けている市民〜競技レベルのランナー。平均32歳で、10kmの平均ペースは1kmあたり約5分6秒、週の走行距離は約25kmです。海外の研究のため、日本人にそのまま当てはまるとは限りません
- サンプルサイズ: 27名が参加し、4条件すべてを完了したのは20名(女性8名・男性12名)
- 摂取量・タイミング: 走る45分前に、見た目が同じカプセルで次の4条件を摂取しました(各条件の間は7日以上あけています)
- カフェイン: 体重1kgあたり6mg(体重60kgなら360mg)
- カプサイシン: 体重1kgあたり0.35mg(体重60kgなら約21mg。唐辛子由来の抽出物)
- カフェイン+カプサイシン
- プラセボ(でんぷん)
- 評価項目: 400mトラックを1人で走る10kmのタイム、きつさの感覚(主観的運動強度)、心拍数、走った後の血中乳酸、気分や副作用
結果・考察
| 条件 | 10kmタイム(推定値) | プラセボとの差 | 判定 |
|---|---|---|---|
| プラセボ | 3,119.7秒(約52分) | ― | ― |
| カプサイシンのみ | 3,103.2秒 | 約17秒短い | 有意差なし |
| カフェインのみ | 3,064.4秒 | 約55秒短い | 有意差なし(p=0.100〜0.159) |
| カフェイン+カプサイシン | 3,050.1秒 | 約70秒短い | 有意(p=0.048) |
| その他の指標 | 結果 |
|---|---|
| カフェインの効果(全体の分析) | 約54秒の短縮(p=0.0049)。タイムに影響した主な要因 |
| カプサイシンの効果(全体の分析) | 有意な効果なし(p=0.407) |
| 組み合わせによる上乗せ効果 | なし(p=0.953) |
| きつさの感覚・心拍数 | 条件間で大きな差なし |
| 走った後の血中乳酸 | 併用で9.49mmol/Lと、ほかの条件(6.77〜7.72)より高い |
| 「元気が出た」と感じた割合 | カフェイン60%、併用70%と多い |
| 副作用 | カフェインを含む条件で不眠・不安・頭痛・動悸が多い(24時間後には多くが消失) |
併用では、きつさの感覚は変わらないのにより速いペースで走れていました。
乳酸値が高かったのは、より高い強度で走れていたことを反映している可能性があります。
一方で、カフェイン単独でも約55秒短くなっています。
著者らも「併用の結果はカフェインの効果によるもので、2つが相乗的に働いた証拠ではない」と述べています。
また、参加者が自分の摂った条件を正しく当てられた割合は20%以下で、目隠し(盲検化)はうまく機能していました。
今回の結果ではカプサイシンの効果が見られなかったようです。
結論
著者らは「カフェインとカプサイシンの併用で10kmのタイムが短縮し、心拍数やきつさの感覚は変わらなかった。
一方で、カフェインを含む条件では一時的な不安・不眠・頭痛・動悸が増えた。効果と副作用のバランスを考える必要がある」と結論づけています。
ブログ執筆者まとめ
当ブログでは先日、カプサイシン類の運動パフォーマンスへの効果を21件の試験で統合したメタ分析を紹介しました。
その論文でも、有酸素能力への効果は見られていませんでした。
今回の研究でも、10km走ではカプサイシン単独の効果は見られず、タイム短縮に影響していたのは主にカフェインでした。
注意したい点は3つあります。
- カプサイシンの量(体重60kgで約21mg)は、メタ分析で実用的な目安とされた2〜12mgより多い量です
- 全条件を完了したのは20名と少人数で、参加者の習慣的なカフェイン摂取量は分析で調整されていません
- 著者の1人がサプリメント会社の株主です(研究への関与はないと明記されています)
カフェインと唐辛子を「レース前の習慣」に取り入れるには
研究の量は、カフェイン・カプサイシンともに多めです。いきなり研究と同じ量を試すのではなく、次の順序がおすすめです。
- まずは食品から: カフェインは、レースの約45分〜1時間前にコーヒーや緑茶で摂る方法が身近です。唐辛子は、研究の量を食品で摂ると辛味が強く、胃腸の負担になります。普段の食事で七味や一味を添える程度にとどめましょう。
- 研究に近い形で試したい場合の選択肢: カフェインの錠剤やサプリメントを使う場合は、体重1kgあたり3mg程度の少なめの量から、練習で体調への影響を確かめましょう。カプサイシンのサプリメントは、今回の研究では単独での効果が見られていないため、優先度は低い選択肢です。
- まずは無理なく続けられる習慣から: 10kmの記録の土台は、日々の練習と、糖質をしっかり摂る食事、休養です。レース当日に新しいことを試さず、練習で確かめた方法だけを使いましょう。
30秒で解決!カフェイン・唐辛子とランニングに関するQ&A
Q. カフェインと唐辛子を一緒に摂れば、それぞれ単独より効果が高まりますか?
A. 今回の研究では、併用だけがプラセボより有意にタイムを縮めましたが、組み合わせによる上乗せ効果は確認されていません。タイム短縮に影響していたのは主にカフェインでした。まずはコーヒーなどでカフェインの摂り方を練習で確かめることから始めましょう。
Q. 体重1kgあたり6mgのカフェインは、どれくらいの量ですか?
A. 体重60kgの方なら360mgです。コーヒーのカフェイン量は種類や入れ方で大きく変わりますが、一般的なマグカップで3〜4杯分前後に相当します。不眠や動悸などの副作用も多かったため、まずは体重1kgあたり3mg程度から試すのが安心です。カフェインの量の目安は、カフェインの各国目安とドリンクに含まれるカフェイン量のまとめも参考にしてください。
Q. 夕方や夜のレースでカフェインを摂っても大丈夫ですか?
A. 今回の研究でも、カフェインを含む条件では不眠が多く見られました。夕方以降のレースでは、レース後の睡眠に影響する可能性があります。量を減らす、または摂らないという判断も大切です。心臓の持病がある方や妊娠中の方は、医師にご相談ください。
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まとめ
カフェインと唐辛子の辛味成分を一緒に摂ると、10km走のタイムが約70秒縮まりました。
ただし、効果の中心はカフェインで副作用も見られています。
明日からは、練習の日にコーヒー1杯程度のカフェインをレースと同じタイミングで試し、体調への影響を確かめるところから始めてみましょう。
※ブログ執筆者は研究者ではないので、細かい点で間違いがあるかもしれません。
ご了承いただけますと幸いです。
じっくり論文の内容を確認したい方は各論文のタイトルからチェックしてみてください。
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