睡眠不足が続くと痛みは慢性化する?
論文情報
タイトル
Poor sleep versus exercise: A duel to decide whether pain resolves or persists after injury
著者名
メアリー・F ・バーベ、他
所属
テンプル大学ルイス・カッツ医学部
内容要約
目的
睡眠不足の状態では急性の痛みが慢性の痛みに変化するのかをラットを用いて調べた研究。
方法
メスのラット29匹
a.痛みの発生
4週間の飼育
前腕を使って餌を取り出す給餌器を用いることで急性発症型の疼痛を引き起こした。
b.3チームに分けて4週間の介入
①エクササイズチーム
ラットが回し車による有酸素運動を行える環境を整備
②睡眠障害チーム
ラットの睡眠を阻害
③エクササイズ+睡眠障害チーム
①+②の条件
c.評価
①疼痛前、②疼痛後、③運動or/abd睡眠障害後に評価
結果・考察
痛みに対する感受性
・疼痛を引き起こすことで、3チームとも有意に亢進。
・エクササイズチームとエクササイズ+睡眠障害チームでは、痛みに対する感受性は疼痛前のレベルに回復。
・睡眠障害チームでは、回復せずに亢進したまま。
握力
・疼痛前後を比較しても、3チームとも有意に低下。
・b.4週間の介入後、3チームとも有意に回復。
・エクササイズチームでは、疼痛前よりも有意に高値。
⇒睡眠不足は慢性疼痛の原因となりうる、また有酸素運動は慢性疼痛への移行を抑制する可能性がある。
ヒトを対象にしても同様の結果が得られるか、下半身に痛みを抱える場合にどのような有酸素運動を実践できるか、昼寝をした場合に感受性が回復するのかなどがポイント。
負荷を細かく調整できるエアロバイクなどで痛みの程度に合わせた負荷の有酸素運動をするとよいかもですね。