プレッシャーの強弱やプレーの得意不得意はパフォーマンスに影響する?

プレッシャーの強弱やプレーの得意不得意はパフォーマンスに影響する?

論文情報

タイトル

Inhibition of Ironic Errors and Facilitation of Overcompensation Errors Under Pressure: An Investigation Including Perceived Weakness

著者名

中本宏樹氏、他

所属

鹿屋体育大学

内容要約

目的

特定の位置への打球が禁止された状況でのテニスのリターンショットの精度がプレッシャーの強弱や苦手意識によって、どのように変化するかを調べた研究。

方法

対象
年齢:19.5±1.5歳
性別:男女
人数:12名
ハイレベルアスリート

課題
射出されるボールを定められた目標位置に正確に打ち返す。

①目標ゾーン、②皮肉ゾーン、③過補償ゾーンを設定。

①目標ゾーン
打ち返すべき目標となるゾーン。

②皮肉ゾーン
ボールの返球を禁止したゾーン、皮肉エラーを想定したゾーン。
皮肉エラー
例)打ってはいけないエリアを意識しすぎて、逆にそのエリアにボールが行ってしまう。

③過補償ゾーン
過補償エラーを想定したゾーン。
過補償エラー
例)過剰に避けようとして本来の目標外(ゴールの枠外やコート外)にボールが行ってしまう。

苦手意識
バックハンドが極めて得意・バックハンドがやや得意・フォアハンドが極めて得意・フォアハンドがやや得意の4グループ(各3人)に分類。
それぞれ得意な条件と不得意な条件で実施。
グループ間での競争。

プレッシャー設定
①弱いプレッシャー
・3人の目標ゾーンへの返球の合計を成績として評価。
②強いプレッシャー
・目標ゾーンへの返球で1球ごとに100円を支給。
・皮肉ゾーンへ返球で金額のリセット。
・過補償ゾーンやその他のエリアへの返球は賞金への影響なし。
・トップチームのみ賞金を支給。

お金がかかるとはなかなかのプレッシャーですね!

次のA~Dの条件(A:得意×弱プレッシャー、B:苦手×弱プレッシャー、C:得意×強プレッシャー、D:苦手×強プレッシャー)を30回、計120回実施。

結果・考察

A:得意×弱プレッシャー
目標ゾーンへの返球率(目標率)49.7±12.1%、皮肉ゾーンへの返球率(皮肉率)17.5±7.2%、過補償ゾーンへの返球率(過保障補償率)13.3±8.2%。

B:苦手×弱プレッシャー
目標率44.7±10.3%、皮肉率13.3±5.9%、過補償率14.4±4.6%。

C:得意×強プレッシャー
目標率49.2±15.6%、皮肉率8.6±7.5%、過補償率28.9±14.6%。

D:苦手×強プレッシャー
目標率45.3±14.4%、皮肉率9.2±6.7%、過補償率27.5±8.4%

目標ゾーンへの返球率
・A~Dの条件間に有意な差はなし。

強プレッシャーで下がるのかなと思いましたが違いはなかったようです。

過補償ゾーンへの返球率
・プレッシャーが強くなると、過補償ゾーンへの返球率が有意に上昇。
・得意な場合は75%上昇し、苦手な場合は55%上昇。

皮肉ゾーンへの返球率
・プレッシャーが強くなると、皮肉ゾーンへの返球率が有意に低下。
・得意な場合は40%低下し、苦手な場合は30%低下。

お金がかかると皮肉ゾーンへは返したくない想いが強まり、皮肉率は下がるも目標率は増えず、過補償率が上がったようですね。
皮肉ゾーンでリセットされるぐらいなら過補償ゾーンで±0でいいや、といった感じでしょうか。

ブログ執筆者まとめ

得意・苦手問わず、目標率が変わらないのが意外でした。
被験者数を増やすと違いが出るかもしれません。
また競技レベルも影響するかもしれません。
今回は全国大会出場者も含まれるレベルのようで、初心者にはどのような影響が出るのかも興味があります。
金額が積み上がった状態ほど皮肉ゾーンを避けるような気もするので、ショット打つ前の積立金が多い/少ないで差が生まれるかもしれませんね。

  

※ブログ執筆者は研究者ではないので、細かい点で間違いがあるかもしれません。
ご了承いただけますと幸いです。
じっくり論文の内容を確認したい方は各論文のタイトルからチェックしてみてください。

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